ただでさえ大変な当事者の負担を減らすために
やよいかめさんは自分の体験も含め、情報を伝える側に気を付けてほしいことがあるという。「がんになると誰に告知するべきかまず悩むと思うんですが、その理由として大きく3つの理由が挙げられます。1…病状を何回も繰り返し説明しないといけない、2…ガンについて情報を教えてもらう、3…同情される。これらの話をすることが多くなるのではないでしょうか?一つ一つは短い時間でも、何人もの人と同じような会話を繰り返せば、患者とその家族の負担になる場合があります。話して楽になることや気づけることもあると思いますが、いいことばかりではありません」
特に気になったのは、誰かがお見舞いに来たとき、おばさん(じゅんちゃん)の姿を見て友人が泣くこと。「(自分を見て泣かれることは)特に心の負担になるようです。周囲との付き合い方まで考えて行動しないといけないのは、患者も家族も大変です。そういう状況はわかりにくいですが、患者と家族の様子をよく見ていただいてから言葉にするというちょっとした気遣いがあれば、(当事者の)負担も減るのではないかと思います」
自宅療養の難しさ
自宅療養の問題が徐々に見えてきたという描写がある。「自宅療養の大変さは、患者やその家族にのしかかる負担が大きすぎるということに尽きると思います。病院にいた場合、何かあっても医療や看護、医療事務などそれぞれの分野のプロが患者とその家族を、身体的にも精神的にもサポートしてくれます。でも自宅療養の場合、患者とその家族がすべてに対応しなくてはいけません」
そのため、自宅療養は手探りで形作ることになる。「排泄の処理、清掃、リネンの交換、食事の準備と介助など、自宅療養は人間一人分の生活をまるっと肩代わりしているようなものだと思います。それに加えて治療やお金の不安、周囲との人間関係などが追加されると、体も心も疲弊してしまいます」
自らがじゅんちゃんを看護するという、自宅療養の道を選んだおじちゃん。その結果は…。